海洋散骨についての資格には、海洋散骨を実際に行う場合の資格、海洋散骨を事業として行う場合の資格、船の運搬に関わる資格、遺骨の粉骨に関わる資格などたくさんあります。
今回は「海洋散骨を行うために必要な資格」について、業者として提供する立場・船を運航する立場・法的視点など、わかりやすく詳しく解説します。
◎この記事でわかること◎
- 海洋散骨を実際に行う場合の資格
- 海洋散骨を事業として行う場合の資格
- 船の運搬に関わる資格
- 遺骨の粉骨に関わる資格
- 任意で取得可能な認定・民間資格
そもそも「海洋散骨に資格は必要か?」

結論からいうと、海洋散骨を個人で行うだけであれば、特別な資格は不要です。
ただし、業者として他人の遺骨を預かり、海上で散骨サービスを提供する場合は、一定の資格や許可・届け出、遵守すべきガイドラインがあります。
以下、それぞれの立場に応じた必要事項を解説します。
一般の人(個人)が自分で海洋散骨を行う場合
必要な資格はありません。
ただし、以下のことに注意が必要です。
遺骨は必ず「粉骨」すること
→ 骨の原型がわからない2mm以下に粉砕(粉骨)する必要があります。沖合で行うこと
→ 海岸や人の目につく場所ではなく、沖合(一般的に2km以上)で行うのが望ましい。環境への配慮
→ 自然素材(生花、紙など)以外のものは撒かない。散骨前に親族の同意を得ておくこと
→ 後のトラブル防止になります。
海洋散骨を事業として提供する場合に必要な資格・届け出
一般社団法人等による自主ガイドライン
現在、日本では海洋散骨を直接規制する法律はありませんが、以下の業界団体が自主ガイドラインを策定しています。
一般社団法人 日本海洋散骨協会(JMSA)
一般社団法人 日本海洋葬協会
一般社団法人 全国海洋散骨協会連盟(JMSU)
これらに加盟している事業者は、法令順守・環境保護・粉骨管理・顧客対応などに関するルールを守って運営しています。
必要とされる主な資格・許可
区分 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
粉骨処理 | 医療廃棄物扱い | 専用機械・衛生設備・行政指導への準拠が必要。都道府県によって届け出が必要な場合あり。 |
遺骨の輸送 | 一般貨物運送業 or 郵送 | 対面引渡し or 宅配便(通常は法律違反ではないが、梱包や証明書類が必要) |
顧客からの遺骨預かり | 民法・遺骨管理責任 | トラブル時の賠償保険や管理帳簿が望ましい。 |
船の運航 | 小型船舶操縦士免許 | 自社運航なら必須。外部船会社と提携するなら不要。 |
事業者登録 | 特に法律上の登録制度はなし(2025年現在) | ただし、任意団体(例:日本海洋散骨協会)への加盟で信頼度アップ |
船の運航に関わる資格・許可

船の種類 | 必要な資格 |
---|---|
プレジャーボート(小型船) | 小型船舶操縦士免許(2級以上) |
業務用の旅客船 | 船長資格・海技免状、旅客業許可 |
また、乗船者がいる場合は旅客運送業の許可(海上運送法)が必要になります。
個人が不特定多数を乗せるのは違法となる可能性があります。
遺骨の粉骨に関わる資格
粉骨は法律上「廃棄物処理法」には該当しないと解釈されることが多いですが、衛生管理・作業方法などの観点で注意が必要です。
業者が粉骨サービスを提供する場合は、以下が求められることがあります:
粉骨室の衛生設備
火葬証明書や委任状の管理
粉骨記録の保管
任意で取得可能な認定・民間資格(信頼向上のため)
業者としての信頼を得るために、以下のような民間資格や研修制度もあります:
海洋散骨アドバイザー(日本海洋散骨協会)
散骨コーディネーター(JMSA認定)
終活カウンセラー(終活カウンセラー協会)
葬祭ディレクター技能審査(厚生労働省認定)
注意点
遺骨の取り扱いは、宗教的・文化的・倫理的に非常にデリケートです。
業者として行う場合は、トラブル対応(賠償責任保険・クレーム対応)なども備えておく必要があります。
散骨場所の海域については、漁業権・航路・国立公園区域などに配慮が必要なケースもあります。
まとめ
目的 | 必要な資格 |
---|---|
家族での散骨(自分で) | 特に資格なし(粉骨・マナー厳守) |
代理・業者として散骨 | 小型船舶免許、粉骨設備、顧客対応スキル、協会加盟が望ましい |
船を運航(業者) | 小型船舶操縦士免許 or 船長資格、旅客運送許可(必要に応じ) |
海洋散骨に関する資格には、さまざまなものがありました。自分で散骨する場合、事業として行う場合など、参考にしてください。