近年、墓地に依存せず自然の中で故人を供養する「海洋散骨」が注目を集めています。
特に「自分で散骨したい」と考える方も増えており、業者に頼らず、自分自身で行う場合の注意点や手続き、準備方法について詳しくまとめました。
◎この記事でわかること◎
- 海洋散骨とは
- 海洋散骨は自分でできる?
- 散骨前に準備すべきこと
- 海洋散骨の手順とポイント
- 自分でやる場合のメリット・デメリット
海洋散骨とは
海洋散骨とは、故人の遺骨を粉末状に加工し、海に撒いて供養する方法です。
従来の墓地に埋葬する方法と異なり、場所を選ばず自然に還すことができます。
海が好きだった故人や、自然葬に価値を感じる遺族に人気です。
最近は、業者を利用せず自分で散骨を希望する人も増えています。
海洋散骨は自分でできる?

日本では、海洋散骨は自分で行うことも可能です。
しかし、注意しなければならない点がいくつかあります。
遺骨遺棄罪に注意
刑法第190条に「遺棄罪」があり、無許可で人の遺骨を捨てると罪に問われる可能性があります。
しかし、粉骨処理をして節度を守れば、法的に問題ないとされるケースが一般的です。
自治体によっては独自の条例やルールがあるため、事前確認は必須です。
自治体への確認
港湾区域や漁業権がある海域では、散骨が禁止されている場合があります。
行う前に自治体や海上保安署に確認して、トラブルを避けましょう。
散骨前に準備すべきこと
粉骨処理
遺骨を1〜2mm程度に粉砕するのが一般的です。
粉骨用の業者もありますが、自宅で手作業で行うことも可能です。
散骨場所の選定
漁業や海水浴場に影響のない場所を選ぶ。
天候や潮流も考慮することが重要です。
必要書類
火葬許可証は、粉骨や散骨を行う際に求められることがあります。
安全上、船舶利用時は船舶の免許やライフジャケットの準備も忘れずに。
海洋散骨の手順とポイント

遺骨をパウダー状にする(粉骨)
- 粉骨は自分で行うこともできます。しかし、専用の粉砕機が必要です。
- 専門業者に依頼すると、費用は1万円~3万円程度。
散骨する場所を決める
- 基本的に沖合3海里(約5.5km)以上の公海が望ましい。
- 違法にならないか、地元の漁業協同組合などに確認するのが良い。
散骨の準備
- 船を手配する(レンタル船、チャーター船、自家用船など)。
- 環境負荷を減らすために、お花は自然素材のもの、お供え物は持ち帰る。
- 服装は動きやすく、風や波に注意する。
散骨を実施
- 他の船や漁業関係者に迷惑がかからないように配慮。
- お花を一緒に流すことも可能。
- 海に流した後は、心の中で故人を偲ぶ時間を持つ。
散骨証明書(任意)
- 記念として散骨の証明書を作成するのもよい。
- GPSで座標を記録し、記念に残すことも可能。
自分でやる場合のメリット・デメリット
メリット
- 費用が抑えられる(業者に依頼すると5万~)
- 故人との最後の時間をゆっくり過ごせる
- 自分の希望する方法で実施できる
デメリット
- 場所の選定や準備が大変
- 船の手配や安全対策が必要
- 遺族間で意見が分かれる可能性あり
自分で行うのが難しい場合
海洋散骨の専門業者に依頼すると、安全かつ適切に行える
代行散骨も可能(業者が代わりに散骨してくれる)。
行政や地元ルールの確認をしておくとトラブル回避になる。
まとめ
自分で行う海洋散骨は、自由度が高く故人との距離を感じながら供養できる方法ですが、法的・安全・周囲への配慮が不可欠です。
粉骨処理を正しく行う
散骨場所や時期を慎重に選ぶ
自治体や海上保安署に事前確認を行う
安全対策を徹底する
これらを守れば、故人の希望に沿った自然で心温まる供養が可能です。
自分で散骨を行う場合は、事前の準備と計画が何より大切です。