近年、「お墓じまい」や「自然葬」の一環として、既存の墓地から遺骨を取り出し、海へ還す「海洋散骨」が選ばれるケースが増えています。
そこで気になるのが、「改葬許可は必要なのか?」という点。
本記事では、海洋散骨における改葬許可申請の必要性や手続き方法について、丁寧に解説します。
◎この記事でわかること◎
- 改葬とは?
- 海洋散骨でも改葬許可が必要になるケースとは?
- 改葬許可申請の流れと必要書類
- 注意点とトラブル回避のポイント
- 実際にあったご相談事例
「改葬」とは?基本的な定義を知っておこう

改葬(かいそう)とは、墓地・納骨堂などに埋葬(収蔵)されている遺骨を、別の場所に移すことを指します。
法的には「墓地、埋葬等に関する法律(第2条・第5条)」に基づき、埋葬された遺骨を他へ移す場合は「改葬許可証」が必要です。
海洋散骨でも改葬許可が必要になるケースとは?
改葬許可が「必要」な場合
次のようなケースでは、改葬許可の申請が必要です。
墓地や納骨堂に埋葬(または収蔵)されていた遺骨を散骨する場合
菩提寺の管理する墓から遺骨を取り出す場合
公営・民間霊園の永代供養墓から取り出す場合
この場合、現在遺骨がある墓地の管理者に申請し、「改葬許可証」を役所で発行してもらう必要があります。
改葬許可が「不要」な場合
自宅に安置している遺骨を散骨する場合(未埋葬であれば改葬扱いになりません)
火葬後に納骨していなかった遺骨を散骨する場合
改葬許可申請の流れと必要書類

申請先
現在遺骨が埋葬されている墓地の所在地を管轄する市区町村役場
必要書類(例)
書類名 | 内容 |
---|---|
改葬許可申請書 | 遺骨1体ごとに1枚提出 |
現墓地の管理者の埋葬証明書 | 埋葬済であることの証明 |
受入証明書(通常は必要だが…) | ※海洋散骨は「墓地」ではないため、原則不要 |
※受入先が「墓地」ではないため、受入証明書が不要になるケースが多く、自治体によって対応が異なります。
注意点とトラブル回避のポイント
自治体によって判断が異なる
海洋散骨は法律上「墓地」ではないため、受入証明書が不要とされる自治体もあれば、書面を求められる自治体もあります。
→ 事前に、必ず役所または墓地管理者に確認しましょう。
寺院・墓地の了承が必要
寺院墓地や霊園では、住職や管理者の同意が必要な場合があります。
改葬に伴う「離檀料」や書類発行手数料が発生することも。
遺族間のトラブルに注意
改葬・散骨は家族全員の同意を得たうえで進めることが望ましいです。
とくにお墓を管理している親族がいる場合は慎重に話し合いを。
実際にあったご相談事例
「母のお墓を墓じまいして、散骨にしたい。改葬許可の書き方がわからない」
→ 書類の書き方をサポートし、自治体提出まで同行した例も。「お寺から『受入証明がないなら許可できない』と言われた」
→ 散骨業者が“供養先の受入証明”として協力文書を発行し対応。
よくある質問
自宅保管の遺骨なら、改葬許可はいりませんか?
→ はい、埋葬されていない場合は改葬扱いにならず、許可不要です。
改葬許可が下りるまでにどのくらいかかりますか?
→ 通常は1週間〜2週間程度。自治体によって異なります。
改葬許可なしで散骨すると違法ですか?
→ 埋葬地から無許可で遺骨を取り出すと、法令違反になる可能性があります。
まとめ
項目 | ポイント |
---|---|
改葬許可が必要か? | 埋葬済の遺骨を散骨する場合は「必要」 |
手続きの流れ | ①管理者の証明 → ②役所で申請 → ③改葬許可証取得 |
散骨後の届け出は? | 通常は不要だが、希望者は業者に報告書提出依頼も可能 |
注意点 | 自治体ごとの運用差があるため、事前確認が重要 |