海洋散骨と環境リスクの疑問
海洋散骨は「自然に還る供養」として注目を集めています。
その一方で「遺骨に六価クロムなどの有害物質は含まれていないのか?」といった不安を持つ方も少なくありません。
六価クロムは強い毒性を持ち、環境汚染や健康被害を引き起こす物質として知られているため、特に環境意識の高い方や法令順守を重視する方にとって大きな関心事です。
この記事では、六価クロムと海洋散骨の関係、安全性の確保について詳しく解説します。
◎この記事でわかること◎
- 六価クロムとは
- 遺骨と六価クロムの関係
- 海洋散骨と環境への配慮
- 六価クロムを心配する方へのアドバイス
六価クロムとは

六価クロムの性質
化学式:Cr⁶⁺(クロムの酸化状態のひとつ)
用途:メッキ加工、耐熱性材料、塗料など
特徴:強い酸化力を持ち、水溶性で人体に取り込まれると発がん性・皮膚障害・呼吸器障害を引き起こす可能性がある
環境問題との関係
六価クロムは「土壌汚染」「水質汚染」の原因物質として知られており、日本でも環境基準が定められ、工場排水や廃棄物処理において厳しく規制されています。
遺骨と六価クロムの関係
遺骨に六価クロムは含まれるのか?
一般的に、火葬によって残る遺骨(焼骨)はカルシウムを主成分とするリン酸カルシウムで構成されており、六価クロムのような有害重金属はほとんど含まれません。
ただし、火葬炉の構造や環境によって微量の重金属が生じる可能性が指摘される場合もあります。
特に古い火葬炉や、高温燃焼により金属が酸化した場合、六価クロムが副次的に発生するリスクがゼロではありません。
なぜ六価クロムが話題になるのか?
六価クロムに関する懸念は、主に以下の要因によって生じます。
火葬時に金属副葬品が燃焼し、金属元素が反応して六価クロムが発生するケース
過去に建築廃材やセメントなどで六価クロム溶出が社会問題になったことから、「遺骨も同じではないか」との連想
海洋散骨が環境に与える影響を心配する声の一部が、六価クロムを具体例として挙げている
海洋散骨と環境への配慮

六価クロムのリスクはほぼゼロ
実際の海洋散骨において、六価クロムが環境汚染を引き起こすリスクは極めて低いと考えられています。理由は以下の通りです。
焼骨の主成分はカルシウムであり、重金属の含有量はごく微量
六価クロムが仮に存在しても、海水中では還元されて安定した三価クロムに変化しやすい
適正に粉骨処理された遺骨は粒子が細かく、自然環境に速やかに拡散・希釈される
法令とガイドライン
日本では散骨に関する明確な法律は存在しませんが、厚生労働省や環境省の見解、業界団体のガイドラインに基づき、以下のような配慮が行われています。
沿岸から一定の距離を離れた海域で散骨する
遺骨は粉末状に加工する(2mm以下)
環境に影響を与える副葬品や異物を混入させない
業者の取り組み
信頼できる海洋散骨業者は、粉骨工程で不純物の除去を徹底し、海洋環境への負荷を最小限に抑えています。
また、環境意識の高まりに応じて「自然環境に優しい供養」としての価値を打ち出す動きも広がっています。
六価クロムを心配する方へのアドバイス
不安があれば、業者に「粉骨時の処理方法」や「安全性の配慮」について確認しましょう
科学的には六価クロムのリスクはほぼ無視できるレベルですが、「安心感」を持つことも供養において大切です
環境への配慮を重視するなら、認可を受けた業者や実績のある専門業者を選ぶことをおすすめします
まとめ
六価クロムは環境汚染の原因として知られる有害物質です。
しかし、海洋散骨においては実質的なリスクはほぼありません。
遺骨の主成分はカルシウムであり、仮に微量の金属が含まれていたとしても、海洋環境においては安全性が担保されています。
大切なのは「法令やガイドラインに基づき、正しい方法で散骨を行うこと」です。
安心して海洋散骨を選択するために、科学的知識と信頼できる業者選びを両立させることが重要です。