海洋葬を選ばれた方の多くは、「自然に還る」「お墓を持たない自由な供養」を望まれたことでしょう。
しかし、海に散骨してしまうと「その後の法要はどうすればよいのか」「一周忌は行うべきなのか」と悩むご遺族も少なくありません。
この記事では、海洋葬を行った後の一周忌の考え方、供養方法、注意点、そしておすすめの過ごし方について詳しく解説します。
◎この記事でわかること◎
- 一周忌とは何か
- 海洋葬後の一周忌は必要か?
- 海洋葬後の一周忌でできる供養の方法
- 費用の目安
- 一周忌を行う際の注意点
- よくある質問
一周忌とは何か
一周忌とは、故人が亡くなってから満1年目に行う追善供養のことを指します。
仏教では、亡くなってから最初の年忌法要として特に重要視されており、親族や友人が集まって故人を偲ぶ節目となります。
ただし、海洋葬を選んだ場合は「お墓がない」「お寺との付き合いがない」ケースも多く、従来の法要とは異なる形をとる方が増えています。
海洋葬後の一周忌は必要か?
結論として、一周忌は必ず行わなければならないものではありません。
海洋葬は「形式よりも想いを重視する供養」のため、法要の形も自由に考えることができます。
一方で、次のような理由で一周忌を行うご家族も多いです。
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故人への感謝を改めて伝えたい
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家族・親族が心を一つにする節目を持ちたい
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散骨をした後も、定期的に故人を偲ぶ機会をつくりたい
海洋葬をしたからといって、供養をやめる必要はありません。むしろ、「海という墓所」を心の中に持つ形で、一周忌を行うことができます。
海洋葬後の一周忌でできる供養の方法
献花・献酒などの「海上供養」
最も一般的なのが、散骨した海域に再び訪れて行う海上供養です。
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チャーター船を利用して、花やお酒を海へ手向ける
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家族だけで静かに黙祷を捧げる
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散骨証明書の海域をもとに、同じ場所で再訪
多くの海洋葬業者が「一周忌供養プラン」を用意しており、短時間のクルーズ形式で実施できます。
自宅での「海を思う法要」
遠方で海まで行けない場合は、自宅でも供養が可能です。
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散骨時の写真や遺影を飾って黙祷
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故人の好きだった音楽や香を焚く
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花や貝殻を飾り、海を感じる空間を演出する
僧侶を自宅に招くこともできますし、宗教色を控えた静かな時間にしても構いません。
オンライン供養・メッセージ供養
近年では、オンラインで僧侶に読経を依頼できるサービスや、故人への手紙を投稿して供養するサイトもあります。
海洋葬を行った方々が「距離を超えて心でつながる」新しい供養の形です。
費用の目安
海洋葬後の一周忌にかかる費用は、供養方法によって異なります。
| 供養方法 | 費用の目安 | 内容例 |
|---|---|---|
| 海上供養(チャーター船) | 5万円〜15万円 | 船代、花束、献酒、写真撮影など |
| 合同供養(業者主催) | 1万円〜3万円 | 他の家族と合同で供養 |
| 自宅法要 | 2万円〜5万円 | 僧侶へのお布施・お供え・花代など |
| オンライン供養 | 5,000円〜2万円 | 動画読経・メッセージ供養など |
形式にこだわらず、家族の気持ちを大切にできる範囲で行うことが大切です。
一周忌を行う際の注意点
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海の状況を確認すること:天候や海況によっては延期になる場合があります。
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業者との連絡を早めに:人気シーズン(春・秋)は予約が埋まりやすいです。
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花や供物は環境配慮型のものを選ぶ:自然素材・生花のみ使用が原則です。
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宗派に配慮する場合:お坊さんを呼ぶ場合は宗派を確認しておくと安心です。
よくある質問
海洋葬後の一周忌で僧侶を呼ぶ必要はありますか?
必須ではありません。希望すればお経をあげてもらうことも可能ですが、黙祷や献花だけでも十分に供養になります。
散骨した海域が分からない場合はどうすればいいですか?
多くの業者が「散骨証明書」に海域情報を記載しています。紛失した場合は再発行してもらえることもあります。
一周忌のタイミングは正確に1年後でないといけませんか?
前後しても問題ありません。家族が集まりやすい時期に行うのが現実的です。
まとめ
海洋葬後の一周忌は、「海という大自然の中で眠る故人を想い、感謝を伝える日」です。
お墓がなくても、海へ花を手向けたり、自宅で静かに祈ったりすることで、心の区切りをつけることができます。
形式にとらわれず、自分たちらしい供養を選ぶことが海洋葬の本質です。
愛する人が還った海を見つめながら、「ありがとう」を伝える、それが、最も美しい一周忌の形といえるでしょう。

