海は、古来より「生命の源」であり、また多くの人々を見送ってきた「安息の場」でもあります。
特に海上自衛隊や旧日本海軍など、海にゆかりのある方々にとって、「海に還る」ことは特別な意味を持つものです。
この記事では、「海洋葬(海洋散骨)」を海軍・海上自衛隊出身者やそのご家族が行う場合の意義、流れ、費用、注意点、そして実際に行う際のポイントを詳しくご紹介します。
◎この記事でわかること◎
- 海軍・海上自衛隊にゆかりある人が海洋葬を選ぶ理由
- 海洋葬(海軍式)の流れ
- 海軍ゆかりの海洋葬にかかる費用の目安
- 注意点と事前に確認しておくこと
- よくある質問
海軍・海上自衛隊にゆかりある人が海洋葬を選ぶ理由
「海に生き、海に還る」という信念
旧日本海軍や現・海上自衛隊の隊員にとって、海は仕事の場であり、命を懸けた場所でもあります。
そのため、退役後の最期の儀式として海に還ることを希望する方が多く、自然と海洋葬が選ばれます。
墓を持たない現代的供養
戦地で亡くなった方や遠洋勤務の経験者は、故郷を離れて海を人生の中心に過ごしてきました。
その生き様を象徴する供養として、「墓ではなく海に眠る」という選択は、生涯を通して海と共に生きた証になります。
海軍葬(軍葬)としての格式を残す
海軍や自衛隊出身の方の中には、儀礼的な要素を重んじたいと希望される場合もあります。
その場合、敬礼や国旗掲揚、黙祷、軍楽の演奏など、儀式的演出を取り入れた海洋葬も可能です。
海洋葬(海軍式)の流れ
海軍や自衛官経験者の海洋葬も、基本的な流れは一般の散骨と同様です。
ただし、セレモニー部分に軍人としての名誉を重んじた演出を加えるケースが多く見られます。
お問い合わせ・ご相談
まずは海洋葬専門業者に相談します。
「海軍・自衛隊関係者の葬送であること」を伝えることで、儀礼的な進行を提案してもらえます。
粉骨の準備
散骨に使用する遺骨は、粉末状(2mm以下)に加工します。これは海洋汚染防止のための法令順守です。
出航・セレモニー
出航地は多くの場合、横須賀港・呉港・佐世保港・舞鶴港など、旧海軍ゆかりの港が選ばれます。
セレモニーでは以下のような演出が可能です。
海上での黙祷・国旗掲揚
自衛隊OBによる敬礼
軍艦マーチや希望の曲の演奏
献花・献酒・海への敬意の言葉
家族や関係者の想いを込めた、荘厳で静かなセレモニーが行われます。
散骨・帰港
ご遺骨を海へと撒き、故人を静かに見送ります。
その後、散骨証明書と位置情報を受け取り、港へ帰港します。
海軍ゆかりの海洋葬にかかる費用の目安
| プラン内容 | 費用の目安(税込) | 内容 |
|---|---|---|
| 個人チャーター海洋葬 | 約15万〜25万円 | 家族のみで貸切船を利用。軍葬風セレモニーにも対応。 |
| 合同海洋葬 | 約6万〜10万円 | 複数家族で実施。簡易的セレモニーあり。 |
| 代理散骨 | 約3万〜7万円 | ご家族が乗船せず、業者が代行して散骨。 |
| 軍葬式演出オプション | 約2万〜5万円 | 国旗掲揚、音楽再生、敬礼セレモニーなど。 |
注意点と事前に確認しておくこと
散骨場所の確認
海軍関連の方の場合、特定の海域(例:佐世保湾、舞鶴湾など)を希望されることがありますが、散骨可能区域は限られています。
業者に事前に確認しておくことが大切です。
軍関係者の式典要素は民間では代行不可の場合も
自衛隊の現役部隊や国旗儀礼など、公的な軍葬式は防衛省の許可が必要です。
民間の海洋葬では、「軍葬風の演出」として再現する形になります。
ご家族間の合意
「海に還す」という供養は伝統的なお墓とは異なるため、家族全員の同意を得ておくことが望ましいです。
よくある質問
海洋葬と軍葬の違いは?
軍葬は国家儀式としての葬礼であり、現職の自衛官など限られた対象に行われます。
海洋葬は民間葬ですが、「軍葬風セレモニー」として軍人の名誉を象徴する形式を再現できます。
遺族が自衛官の場合、式に制服を着てもよい?
はい、問題ありません。葬送儀礼として礼装を着用される方も多いです。
海洋葬後の供養はどうすれば?
年命日や出航地での黙祷、または散骨地点を記した海図を飾るなどの形で供養される方が多いです。
献花や献酒はできますか?
可能です。自然環境に影響を与えない素材(生花や日本酒など)を使用します。
まとめ
海で生きた者が、再び海へと還る――それは単なる葬送ではなく、誇りと感謝を込めた帰還の儀式です。
大海原に眠るその姿は、永遠に航海を続けるかのようでもあります。
故人の生き様にふさわしい、静かで荘厳な海洋葬を。
海軍・自衛官経験者のご家族は、ぜひ専門業者に相談し、心に残るセレモニーを実現してください。

