「骨を全部、海に撒いても大丈夫なのか?」という不安に寄り添って
「海洋散骨をしたいけれど、遺骨を全部海に撒いてしまっても問題ないの?」
「あとで後悔しないだろうか?」
こうした疑問や不安を抱える方は少なくありません。特に、海洋散骨がまだ広く普及していない日本では、「全部の骨を海に還す」ことに対して戸惑いを感じるのは当然です。
この記事では、「海洋散骨 骨全部」というテーマに対し、制度的な側面、実際の運用、後悔しないための判断ポイントなどをわかりやすく解説します。
◎この記事でわかること◎
- 遺骨を全部海に撒くことはできるのか?
- 骨をすべて撒く場合のメリットと注意点
- 骨全部を散骨するまでの流れ
- 骨全部を撒いて後悔しないための3つのポイント
- よくある質問
遺骨を全部海に撒くことはできるのか?

結論:法律上は問題ない
日本では、遺骨の扱いは刑法第190条「死体損壊等罪」の対象になるため、注意が必要ですが、「節度を持った方法で行う散骨」は違法とはされていません。
つまり、遺骨を全部海に撒くこと自体は合法です。
厚生労働省も「節度を持って行われる限り、葬送の一つとして社会的に受け入れられている」と公式見解を出しています。
骨全部を散骨するケースは実際に多い
実際、海洋散骨を専門に行う業者の話によると、「遺骨を全て散骨する」という選択をするご遺族は全体の6〜7割程度に上ります。特に、以下のような事情を抱えるご家庭で増えています。
墓じまいをしたので納める場所がない
お墓を建てる費用や維持が難しい
子どもにお墓の管理を負担させたくない
自然に還りたいという故人の強い希望があった
骨をすべて撒く場合のメリットと注意点
メリット
管理不要で、経済的負担も軽減
お墓の建立や永代供養にかかる費用が不要になり、管理の手間もかかりません。
故人の意思を尊重できる
「海が好きだった」「自然に還りたい」という想いを叶える方法として選ばれています。
跡継ぎのいない家族にも適している
子どもがいない、あるいは遠方に住んでいて墓守りが難しいという家庭にも合った供養です。
注意点
気持ちの整理がつきにくいことも
「形として残るものが何もない」ことに後悔する人もいます。散骨前に家族とよく話し合うことが大切です。
手元供養の検討をおすすめするケースも
後悔を避けるために、遺骨の一部をミニ骨壷やペンダントにして手元に残す「手元供養」を併用するご家庭も増えています。
家族や親族の同意が必要
自分が納得していても、親族が反対する可能性があります。トラブル防止のためにも、事前に理解を得ておくことが重要です。
骨全部を散骨するまでの流れ

業者への相談・プランの決定
希望する散骨方法(合同・チャーター)や、すべて撒くか一部残すかを相談しながら決定します。
粉骨(遺骨のパウダー化)
環境への配慮とルールにより、散骨前に遺骨は2mm以下のパウダー状に加工されます。これは必須の工程です。
海洋散骨の実施
海上での散骨セレモニーを実施。全骨を撒く場合は、袋を分けずにすべて一括で散骨されます。
散骨証明書の受け取り
散骨地点の緯度・経度を記した証明書が発行されます。メモリアルとして残しておくことができます。
骨全部を撒いて後悔しないための3つのポイント
事前に家族としっかり話す
価値観の違いがあるからこそ、丁寧な対話が大切です。
写真や思い出を形に残す
故人の写真、ビデオメッセージ、手紙などを残しておくことで、形のない供養でも心のよりどころになります。
手元供養も検討する
「ほんの少しだけでも残す」という柔軟な選択肢が、後悔を防ぐ助けになることもあります。
よくある質問
骨を全部撒くと納骨できないのでは?
はい、散骨後は納骨ができません。ただし、散骨前に一部を残しておけば、分骨としてお墓や仏壇での供養も可能です。
散骨後に何か証明はもらえますか?
はい、散骨証明書が発行されます。海に散骨した場所の座標が記載されています。
親族に反対されそうです…
「一部だけ残す」「手元供養をする」など、柔軟な提案を通じて理解を得られることが多いです。業者に相談するのも有効です。
まとめ
「骨全部を撒く」という選択は、故人の想いやご家族のライフスタイルに合わせた、自由で尊厳ある弔い方のひとつです。
大切なのは、「どう送るか」ではなく、「どう想いを残すか」。
しっかりと考え、話し合い、納得したうえで決めれば、後悔のない選択になります。