近年、「海洋散骨」という言葉を耳にする機会が増えています。
従来は遺骨をお墓に納めるのが一般的でしたが、今なぜ多くの人が海洋散骨を選ぶのでしょうか。
この記事では、その背景や理由を詳しく解説します。
◎この記事でわかること◎
- 海洋散骨とは何か
- 人々が海洋散骨を選ぶ理由
- 海洋散骨を選ぶ背景
- 海洋散骨を行う際の注意点
海洋散骨とは何か

海洋散骨とは、火葬後に粉骨した遺骨を海に還す葬送方法です。
日本では墓地埋葬法により「埋葬・納骨」が基本ですが、散骨は「節度をもって行えば違法ではない」とされています。
そのため、法律的に認められた自然葬の一つとして広がりを見せています。
人々が海洋散骨を選ぶ理由
お墓を持たない選択肢として
少子高齢化により「お墓を守る人がいない」「子どもに負担をかけたくない」と考える方が増えています。お墓を建てると数百万円単位の費用がかかり、管理料も必要です。海洋散骨であれば墓石代や維持費はかからず、シンプルで負担の少ない供養が可能です。
自然に還るという思想
海に囲まれた日本では、「海に還りたい」という自然回帰の願いを持つ人が多くいます。遺骨を海に撒くことで、地球の循環の一部となり、生命の源である海に帰るという象徴的な意味があります。
宗教観や価値観の変化
従来は菩提寺に納骨し、法要を行うことが一般的でした。しかし、近年は宗教色にとらわれない供養を求める人が増えています。「無宗教でもできる」「自分らしい形での供養ができる」という自由度の高さが、海洋散骨を後押ししています。
経済的なメリット
お墓を建てる場合、永代使用料・墓石費用・年間管理費が必要です。対して海洋散骨は、粉骨や散骨の費用を合わせても 5万円~30万円程度で済むことが多く、費用負担を大幅に抑えられます。
家族への負担を軽減できる
「自分が亡くなった後、子どもに墓参りや管理をさせたくない」という理由で散骨を希望する人も増えています。散骨後は管理の必要がなく、遺された家族が精神的・経済的に安心できる点も大きな理由です。
海洋散骨を選ぶ背景
墓じまいの増加
近年「墓じまい」という言葉が一般的になりました。後継ぎがいないためお墓を片付ける家庭が増え、散骨がその代替手段として注目されています。
ライフスタイルの変化
都市部への移住や核家族化が進み、先祖代々のお墓を維持するのが難しい家庭が増えています。その結果、「跡継ぎ不要の供養方法」として散骨が浸透しています。
メディアや著名人の影響
テレビや新聞で散骨が取り上げられる機会が増え、芸能人や著名人が散骨を選んだことも広く報じられています。こうした事例が一般の人々に安心感を与え、広まりを後押ししています。
海洋散骨の費用の目安
海洋散骨の費用の目安は以下のようになります。
代行散骨 | 3万円~10万円程度 |
海洋散骨(委託) | 5万円~15万円程度 |
海洋散骨(乗船) | 15万円~30万円程度 |
散骨する地域などによっても料金が変わります。
海洋散骨を行う際の注意点

粉骨は必須
遺骨をそのまま撒くことはできず、パウダー状にする必要があります。
海岸ではなく沖合で
散骨は漁場や海水浴場を避け、船で沖に出て行います。
親族間の合意が必要
後々のトラブルを避けるため、家族や親戚の同意を得ておくことが望ましいです。
寺や菩提寺との関係
檀家である場合、散骨について理解を得られるか事前に確認しましょう。
まとめ
「海洋散骨をなぜ選ぶか」という疑問に対する答えは、
お墓を持たない選択ができる
自然に還りたいという想いを叶えられる
宗教や形式にとらわれない自由さ
経済的な負担の軽減
家族への思いやり
といった複数の理由が重なり合っているからです。
海洋散骨は、現代社会の価値観や生活スタイルの変化に合った新しい供養の形として、多くの人に選ばれるようになっています。