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海洋散骨、海洋葬のことが全部わかる

海洋散骨事業とは?現状・課題・将来性を徹底解説

注目される海洋散骨事業

近年、日本では「お墓を持たない供養」の選択肢が広がり、特に海洋散骨の需要が高まっています。
少子高齢化や核家族化によって「墓じまい」が増え、故人を自然に還す散骨が注目される中、その需要に応える「海洋散骨事業」も各地で拡大しています。

この記事では、海洋散骨事業の内容、法規制、業界の現状、そして今後の展望について詳しく解説します。

◎この記事でわかること◎

  • 海洋散骨事業とは
  • 海洋散骨事業の法的側面
  • 海洋散骨事業の現状と市場規模
  • 海洋散骨事業が注目される背景
  • 海洋散骨事業の課題
  • 海洋散骨事業の将来性
  • 事業者選びのポイント(利用者向け)

海洋散骨事業とは

定義

海洋散骨事業とは、火葬後の遺骨を粉末状に加工し、遺族に代わってまたは遺族と共に海に撒く供養サービスを提供する事業を指します。

主なサービス内容

  • 散骨の企画・運営(合同散骨、個別散骨など)

  • 粉骨サービス(遺骨を2mm以下に粉砕)

  • 船舶やクルーザーの手配

  • 遺族への同行サービス(セレモニー進行)

  • 代行散骨(遺族不参加で業者が代行)

  • 記録写真・動画の提供

  • 手元供養品の販売(ミニ骨壺・メモリアルグッズ)

海洋散骨事業の法的側面

法律との関係

  • 日本では「散骨を禁止する法律」は存在しません。

  • ただし、「節度をもって行うこと」が条件で、墓地埋葬法の「遺骨の埋葬・埋蔵」とは区別されています。

  • 業者はガイドライン(日本海洋散骨協会など)に基づき、適切なマナーと海域を選んで実施しています。

実施ルール

  • 陸地から一定距離離れた沖合で実施

  • 観光地・漁場・航路を避ける

  • 遺骨は必ず粉末化する

  • 花や献酒も自然環境に配慮したものを使用

海洋散骨事業の現状と市場規模

  • 散骨業者は全国で数百社程度存在

  • 市場規模は数十億円規模に成長しつつあり、今後拡大が見込まれる

  • 首都圏・関西圏を中心に事業者が多いが、地方都市や観光港でも新規参入が進む

  • 葬儀社や石材店が新たに散骨サービスを取り入れるケースも増加

海洋散骨事業が注目される背景

墓じまいと後継者問題

「お墓を継ぐ人がいない」という社会的課題から、墓の代替として散骨を望む人が増えています。

経済的な要因

一般的なお墓の建立費用(数百万円)に比べ、海洋散骨は10万〜30万円程度と手頃。経済的な負担を抑えられることが魅力です。

自然志向・多様な供養観

「自然に還りたい」「自分らしい供養を選びたい」という価値観が浸透し、散骨が市民権を得つつあります。

海洋散骨事業の課題

  • 法律が明確に整備されていないため、グレーゾーンとされる部分がある

  • 事業者間の品質差が大きい(信頼できる業者選びが課題)

  • 環境保護の観点から、今後さらに規制が強化される可能性あり

  • 葬儀業界全体が縮小する中、散骨だけでの収益化は難しく、複合サービスが求められる

海洋散骨事業の将来性

  • 高齢化の進展に伴い、需要は確実に増加

  • 「散骨 × 手元供養」「散骨 × デジタル追悼」など新サービスが登場

  • インバウンド(外国人観光客による散骨需要)も潜在的に期待される

  • 法規制やガイドラインの整備が進むことで、より健全な市場形成が進む

事業者選びのポイント(利用者向け)

  • 日本海洋散骨協会などの団体加盟の有無

  • 料金体系が明確かどうか

  • 粉骨の工程や散骨証明書の有無

  • 実績や口コミの評価

まとめ

広がりを見せる海洋散骨事業

海洋散骨事業は、社会の変化に対応する新しい供養の形として急速に注目を集めています。
まだ市場規模は小さいものの、将来的にはお墓・納骨堂と並ぶ主要な供養の選択肢のひとつとなる可能性があります。

利用者は信頼できる事業者を選ぶことが大切であり、事業者は環境や法令への配慮を徹底することが求められます。
これからの日本において、海洋散骨事業は「持続可能な供養文化」を支える重要な役割を担っていくでしょう。