海洋葬(海洋散骨)は、故人の遺骨を海へ撒いて自然に還す新しい葬送の形です。墓地の維持費や継承問題を避けたい方、海を愛した方の希望により選ばれることが増えています。
しかし、「海に散骨するには国や自治体の許可が必要なのか?」「勝手に行っても法律違反にならないのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、海洋葬を行う際の許可の有無、法的ルール、注意点についてわかりやすく解説します。
◎この記事でわかること◎
- 海洋葬に許可は必要?
- 海洋葬を行うための条件とルール
- 海洋葬を個人で行う場合と業者に依頼する場合
- 海洋葬の許可に関するよくある質問
- 許可は不要でも「信頼できる業者選び」が重要
海洋葬に許可は必要?
結論から言うと、海洋葬(散骨)を行うのに特別な許可は不要です。
ただし、法律や社会的ルールに配慮する必要があります。
刑法190条「死体遺棄罪」:遺骨をそのまま廃棄するように扱えば違法になる可能性があります。
厚生労働省の見解(1991年):「節度をもって行われる散骨は違法ではない」とされています。
つまり、きちんとした手順を踏めば許可不要で合法的に実施できる、という位置づけです。
海洋葬を行うための条件とルール
遺骨は必ず粉骨する
そのままの遺骨を海に撒くと「死体遺棄」と見なされる可能性があります。粉末状(2mm以下が目安)に加工してから撒くことが必須です。
散骨場所に配慮する
漁業や養殖場の近くは避ける
海水浴場や観光地の近辺は避ける
航路や港の近くもトラブルになりやすい
沖合2km以上離れた場所を選ぶのが一般的です。
船舶の利用には船長の許可が必要
散骨に使う船は、遊漁船や散骨専用船などの合法的に運行されている船を利用します。勝手に個人の船で散骨する場合も違法ではありませんが、操縦免許や安全対策が求められます。
自治体によってはガイドラインがある
一部の自治体では、散骨に関するガイドラインや条例を設けている場合があります。事前に役所に確認しておくと安心です。
海洋葬を個人で行う場合と業者に依頼する場合
個人で行う場合
遺骨を粉骨するために専門の粉骨サービスを利用する
散骨用の船を手配する
散骨場所を調べ、漁業関係者に迷惑がかからないようにする
注意点を守れば可能ですが、手間やリスクが大きいのが現実です。
専門業者に依頼する場合
許可やガイドラインに準拠した海域を使用
粉骨・献花・献酒・写真撮影などもサポート
船長の手配や安全管理も業者が対応
費用は5万円~30万円程度かかりますが、安心して任せられるメリットがあります。
海洋葬の許可に関するよくある質問
海に散骨するときに国や自治体の「申請」は必要?
現在のところ不要です。ただし、節度を守ることが前提です。
船を使わずに海岸から散骨してもいい?
海岸近くでの散骨はトラブルになる可能性が高いため避けましょう。沖合に出るのが基本です。
飛行機やドローンから散骨してもよい?
法律上は禁止されていませんが、航空法や安全上の問題から業者もほとんど対応していません。
許可は不要でも「信頼できる業者選び」が重要
許可申請は不要ですが、ルールを守らない業者に依頼するとトラブルに発展する可能性があります。
業者選びのポイントは以下の通りです。
きちんと粉骨を行っているか
散骨海域を明示しているか
過去の実績や口コミがあるか
証明書(散骨証明書)を発行してくれるか
まとめ
海洋葬を行うのに国や自治体からの特別な許可は不要です。
ただし、粉骨の徹底、散骨場所の配慮、船舶の利用ルールなどを守ることが求められます。
安心して供養を行うためには、経験豊富な業者に依頼するのがおすすめです。法律や社会的マナーを守りながら、大切な人を自然に還すセレモニーを実現しましょう。

