海洋散骨を選ぶ際、戒名(かいみょう)をどう扱うか悩む方も多いです。戒名とは、仏教において故人に授けられる名前であり、従来はお墓や位牌に刻まれるものですが、海洋散骨では従来のお墓が存在しないため、その扱いが変わります。
ここでは、海洋散骨と戒名の関係、必要性、宗教的な考え方、代替方法について詳しく解説します。
海洋散骨における戒名の必要性

海洋散骨を選ぶ場合でも、戒名をつけるかどうかは自由です。一般的な考え方を整理すると、以下のようになります。
戒名が必要な場合
仏教の教えを重んじる場合 → 菩提寺(ぼだいじ:代々の供養をお願いしている寺)との関係がある場合、戒名をつけることを求められることがあります。
親族の意向 → 家族が仏教的な考えを重視する場合、戒名をつけて供養することを希望することがあります。
遺族が位牌を作る場合 → 海洋散骨をしても、家庭に位牌を置く場合は、戒名を授けておくのが一般的です。
戒名が不要な場合
無宗教の場合 → 戒名は仏教の概念なので、特定の宗教に属さない方には必要ありません。
家族が自由葬・散骨葬を希望する場合 → 形式にこだわらない供養をするなら、必ずしも戒名をつける必要はありません。
費用を抑えたい場合 → 戒名授与にはお布施(戒名料)が必要であり、それを省くことも可能です。
海洋散骨でも戒名をつけることは可能か?
可能です!
海洋散骨をする場合でも、戒名を授かることはできます。以下のような方法があります。
菩提寺で戒名を授けてもらう
菩提寺がある場合、住職に相談し、戒名を授けてもらうことができます。
ただし、寺院によっては「お墓がないと戒名を授けない」とするところもあるため、事前に確認が必要です。
戒名を位牌や仏壇に刻む
海洋散骨では遺骨が残らないため、戒名を記した位牌や過去帳を自宅に置くことで供養することができます。
戒名なしでも宗教的供養を行う
菩提寺がない場合でも、散骨専門の僧侶に依頼して戒名を授けてもらうことも可能です。
最近では「オンライン戒名授与」など、遠方でも対応してくれるサービスもあります。
海洋散骨と戒名に関する宗教的な考え方
宗派や寺院によって、海洋散骨に対する考え方は異なります。
宗派 | 海洋散骨に対する考え方 | 戒名の扱い |
---|---|---|
浄土真宗 | 遺骨への執着を否定するため、海洋散骨は問題ない | 戒名(法名)は自由につけられる |
真言宗・天台宗 | 伝統的な墓地埋葬を推奨 | 戒名を授けてもらえるが、墓がないと受け入れられないことも |
曹洞宗・臨済宗(禅宗) | 形式にはこだわらず、海洋散骨も容認される | 菩提寺がある場合は相談が必要 |
日蓮宗 | 本来はお墓での供養を推奨 | 菩提寺の意向次第で戒名をつけてもらえる |
無宗教・キリスト教 | 戒名は不要 | 戒名をつけずに自由な供養が可能 |
➡ 宗派によっては、海洋散骨に否定的な立場をとることもあるため、菩提寺がある場合は事前に相談することが重要です。
戒名をつけずに供養する方法(代替案)
海洋散骨を選び、戒名をつけない場合でも、故人を供養する方法はいくつかあります。
戒名の代わりに「俗名(本名)」を使用する
お位牌や過去帳に、戒名ではなく**本名(俗名)**を刻むことができます。
「○○家先祖代々」など、家名で記すことも可能。
自宅に「メモリアルプレート」を作る
遺骨を撒いた海の写真や、故人の名前を刻んだプレートを自宅に置く。
供養のために「散骨証明書」を保管する
海洋散骨を実施した業者から、「散骨証明書」を発行してもらい、それを故人の供養の記録として残す。
永代供養墓や納骨堂と併用する
海洋散骨をしても、戒名をつけたい場合は、永代供養墓や納骨堂に名前を刻んでもらうという選択肢もある。
「合祀墓(ごうしぼ)」や「樹木葬」など、散骨と併用できる供養方法を選ぶことも可能。
まとめ
- 海洋散骨では、戒名をつけるかどうかは自由。仏教的な供養を重視する場合はつけるが、無宗教なら不要。
- 戒名をつける場合は、菩提寺に相談するか、散骨対応の僧侶に依頼する。
- 戒名がなくても供養は可能。本名を刻んだ位牌やメモリアルプレートなどを活用する方法もある。
- 宗派によって海洋散骨への考え方が異なるため、事前に確認が必要。
「故人の意向」と「遺族の気持ち」を尊重しながら、最適な方法で供養を行うことが大切です。